チャドルと生きるのmareのレビュー・感想・評価

チャドルと生きることは隠れて生きることを意味し、イランの女性たちがそれぞれの事情に追われて生きる姿を過酷に描く。人としての尊厳が認められない状況、何一つ解決の糸口が見えない数々の問題を立て続けに見せていく映画でイラン社会の実態を思い知ることになる。身分証や警察の許可証を見せないと何をするにも制限が付き纏うし、逆らえば拘置所に入れられるし、どこにも心の休まる場面がない。イラン映画といえば子どもが主体になるようなものばかり観てきたから、こういった社会情勢をまざまざと映したものを初めて見て胸が痛む。本国にとって非常に意義のある映画なだけに上映禁止になってしまっている事実がやるせない。