このレビューはネタバレを含みます
イランという国で女性が生きる上での理不尽さ、不便さが題材。
鉄扉を隔て交わされる会話で始まる。
最も祝福される出産という出来事の割に不穏な空気が漂う。
女の子は望まれていない訳だが、生まれた瞬間から疎まれるとは酷過ぎる。
ところで、この場面、最後と構図が同じ。
これで分かるのは、冒頭の女たちがいる所、
待合室や廊下(=世間)は、留置場(=囚われの身)と同じということ。
自由に行動したくとも、この後の展開通り、
一々制約や制限がある。
最初の鉄扉は白、締め括りが黒、というのも何か言いたげだ。
この作品の大きな特徴の構成。
5つの女の物語を見ていくが、一つが終わらぬ内に、カメラは別の女を追う。
リレーの様でもあり、オムニバスを一本に繋げた様でもある。
相当際どい社会派でありながら、この構成の面白さで重くなり過ぎないのが上手い。