なっこ

クリスマス・キャロルのなっこのレビュー・感想・評価

クリスマス・キャロル(1970年製作の映画)
3.9
この時期(クリスマス前)になると必ず観ていたほど大好きな作品で、
でもさすがにVHSではどうにもならない、ってことで、今年はとうとうDVDを購入しちゃいました、それくらいに大好きです。

なんといってもストーリーとベストマッチな歌と踊り。
全く違和感なく歌って踊るその展開の滑らかさは芸術です。
子どもの頃から大好きなのは、子供たちが小雪の舞う街頭でおもちゃやさんの前でうっとり欲しいおもちゃを眺めるところ。
そして、ラストの“総踊り”とも呼べる“サンキューベリーマッチ”と歌いみんなでクリスマスの朝の街を闊歩しながら歌い踊るシーン…もう本当に素晴らしい。これがないと、私にクリスマスはやってこないと思えるほど。

ディケンズの優しさ溢れる原作ストーリーと、ミュージカルとしての面白味をプラスして後半にかけて派手に盛り上がりを見せる映画とは、少しテーマが異なるようにも思える。
映画の方がより劇的に、スクルージの人生の悲喜こもごもを描きその生まれ直しの瞬間をドラマチックに描いている。

現代のクリスマスの精霊の登場で出てくる
“I like life, Life likes me.”というセリフの素晴らしさは、改めて心に響いた。

人生を好きになること、それが出来なければ、人生という時の流れをただ生きてるだけの暇つぶしに過ぎない。それでは勿体無い。この世には美しいものとの出会いが沢山あるのにそこに目を向けていない、ということ。
まずは、“I like life, Life likes me.”と呟いてみる、すべてはそこから始まる。

人生の方が自分を嫌っていると思っていたスクルージがもっと楽しんでもよいのだと自分を開放していくことで、自分を好きになるきっかけをつかみそして周りにも目を向けて、周りにはそんなかつての自分でも愛そうとしてくれていたひとの存在に気がつく…

その気付きは、本当に感動的で美しい。
クリスマスの朝のシーンは何度見ても本当に感動で胸がいっぱいになる。

今年のクリスマスもそんな幸せを多くの人と共有しようと思いやりのミルクを配れることの出来る人で街がいっぱいになりますように

メリークリスマス。
なっこ

なっこ