浅野公喜

XYZマーダーズの浅野公喜のレビュー・感想・評価

XYZマーダーズ(1985年製作の映画)
3.7
殺人事件に巻き込まれなぜか死刑囚となってしまった青年の一夜の騒動を回想形式で描くサム・ライミ監督によるコメディで脚本にはコーエン兄弟も参加。

今作は
一目惚れした女性にアプローチ

なんとか上手くいきそうな所で殺人駆除業者と遭遇

逃げる女性、追う業者

彼らを追い掛けつつ女性を救う為に業者と戦う
というのが大まかな流れで、序盤こそ比較的大人しめですが駆除業者の男二人が大暴れする中盤辺りからエネルギッシュに。

男の一人は怪力で部屋の家具大半を巻き込みながらカーペットを引っ張りマダムを襲おうとすれば、もう一人は青年と女性が居る部屋に忍び込み、青年が居ぬ間に壁越しで着替え中の女性に青年の声真似で対応したりと芸達者ぶりを披露し、後者の状況は観客しか知らないのでスリルとユーモアが同時に得られる一石二鳥の上手いシーンです。

また、
ビルから落ちて助かったとドヤれば車に轢かれる
かっこつければ上からハシゴが落ちてくる
子犬に襲われても怖くないとたかをくくればドーベルマン登場
これでトドメだ、という所で頭がトンネルに衝突

等ボケとツッコミ(物理)が所々に挟まれるのが楽しく、幾つものカラフルな扉がドミノの如く倒れる芸術的なシーンも有れば終盤のカーチェイスでは車の屋根の上で殴り合いや多重事故に爆発と、やけに力が入ってたりとバラエティ豊かで、それらを時にチープな合成でスピーディーにコミカルに描く様はライミ監督が「死霊のはらわた」で得たノウハウで往年のスラップスティックコメディを見事にブラッシュアップして蘇らせた印象さえ抱く程で、死刑執行寸前に尼僧達が駆けつける終盤も実に勢いに溢れてます。

「死霊のはらわた」等ライミ監督作品ではお馴染みブルース・キャンベルと黄色いオールズモビルも登場。ガバリンシリーズ第三作「デビルジャンク」で今度は自分が凶悪な死刑囚役となるブライオン・ジェームズが甲高い声で悲鳴を上げる様も個人的には面白かったです。
浅野公喜

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