こったま

何がジェーンに起ったか?のこったまのレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
5.0
これはもう本当に本当に凄まじい名作……
なによりベティデイヴィスがハリウッド映画史上屈指の演技派女優とされるその凄さが全て詰まってた。
妹になりかわって電話出るシーンなんて、声当ててんのかな?って思うとほどそっくりだったし、声だけじゃなくて表情も仕草も完全に別人になる凄さ…!
天才だなあって本当に感動した。
天才女優は憑依するって本当なんだなって思った。
たっくさんの作品観てきたけど、その全ての役者の中で1番演技に感動した。
白黒でこの長さだからどうかなって思ったけど、現代の綺麗な映像とCGをもってしてもここまでの傑作はなかなか無いし、本当に演技力とストーリーが最高峰すぎる…



⚠️以下ネタバレあり⚠️
映画のジャケット含め、観てるとただのヤバすぎる狂人って思うかもしれないけど、ラストまで観るとその言葉だけで簡単に片付けられない、ただのサイコスリラーじゃなくて実はすっごく深い愛や悲しみもあったって所がさすが超傑作作品。
ラストはもうボロボロ泣いた。
姉から残酷すぎる真実の告白を受けた時、狂うほど怒るかと思いきや、
「今までずっと仲良くできたってこと?」
って台詞に胸が締め付けられすぎてもうここでブワッて涙出た。
嫉妬と憎悪だけじゃなくて、根底ではずっと姉妹として仲良くしたかったっていうのがこの一言に全て詰まってて凄い……
芸能界っていう狂った世界に身を置いてなければ平和に仲良く暮らせてただろうに、お金とマスコミと世間と毒親と、あらゆるものが2人をそうさせないように転落させた事実が垣間見えて悲しい。
でも最後の最後で、憎くて堪らなかったはずのあの姉に無邪気にアイスクリームをプレゼントしたジェーンは、あの時生まれて初めて、子役の頃から呪縛のようにジェーンを縛り付け続けてたベイビージェーンから解放されて、本当の姿である心優しいジェーンになれたんだと思った。

だから最後の浜辺のダンスシーンは、好奇の目で見る何も知らない野次馬にはただの狂人に映っただろうけど、ジェーンの人生をずーっと追って、どれだけの深い人生だったか理解した上で観ると、あらゆる呪縛から解放された本当に美しくて無垢な輝かしいダンスに映る。
本当に胸を打たれる名シーンだった……

だからこそ、タイトルの「何がジェーンに起こったか?」は、憎悪で狂って転落した狂人の妹っていう事を指してるように思うけど、ラストの姉の告白がきっかけで、最後は初めてベイビージェーンの呪縛から解き放たれて、本当の自分に戻れたんだって事を指してるんだって解釈した。
本当に感動した。
あ〜〜こんなに深いラスト初めてかも……本当に凄まじい大傑作だった……
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