荊冠

何がジェーンに起ったか?の荊冠のレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
5.0
どうも自分は「老いゆく女優」というモチーフに非常に惹かれるようで、『サンセット大通り』『イヴの総て』に続く最高に好きな映画となった。
『イヴの総て』で美しくも中年に差し掛かっており若いイヴに嫉妬するマーゴ・チャイニングをベティ・デイヴィスは42歳で演じたが、本作で彼女はさらに12年後、54歳でジェーンを演じ、25歳ですでに女でないと言われた当時のハリウッドにおいてそれは凄まじいチャレンジであった。アメリカンフラッパーの代名詞として名を馳せたジョーン・クロフォードと、映画史のファーストレディと呼ばれたベティ・デイヴィスの名演が光る。
僕がベティ・デイヴィス贔屓なのもあるが、おどろおどろしいメイクと滑稽な衣服を着ていても、彼女が在りし日を思い浮かべ歌い踊る場面などにデイヴィスの美しさが垣間見えて胸を締め付けられる。
ブランチに真相を明かされたあとアイスクリームを買いに行くジェーンの顔は、恐ろしいメイクが美しくなっていて憑き物が落ちたようで、年齢にそぐわない、現実を直視する大人になることを拒否したあどけなさが切なく、思わず涙がこぼれた。
犯罪者に視線を向ける群衆を観客と思いこみ渾身の演技をしてみせるラストは、『サンセット大通り』を彷彿とさせる。
荊冠

荊冠