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グッドフェローズのrensaurusのレビュー・感想・評価

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
4.6
ギャング映画を美学ムンムンのピカレスクロマンではなく、ありのままの粗暴さで映し出し、テンポの良いカットによる話運びと徐ろに始まる不穏なシーンの応酬、そしてロックの名曲の劇伴によって、かつてない凶悪さと気持ち良さを作り上げた快作。

名シーンと呼ぶべきシーンの連続で、ずーーーーーっとおもしろい。この一本を通して、ズーム、スローモーション、テンポの良いカット、真っ赤なライト、効果的な語りなど、非常に表現が多彩で、駆け抜けるようなヘンリー・ヒルの物語とのコントラストによって強烈なインパクトを与えてくれる。

ジョー・ペシ演じるトミーの、「殺すこと」のハードルが下りに下がっており、自分が良ければそれで良いという意識が目に見えて分かるネジの外れっぷりは、それはもう誰がどう見ても狂っていて、自分が身近な人間だったら「あいつとは関わらないか、どうにか殺すかの2択しかねぇな」と思うことでしょう。そんな奴を支持しているデ・ニーロ演じるジミーも絶対に頭がおかしいです。

ナイトクラブに厨房から入っていくシーンは、この映画のテーマやプロットがぎゅぎゅっと詰まっているようで、もはや芸術。そんなシーンの次くらいには銃で顔面を殴打するシーンが出てくるという緩急。こういう揺さぶりでずーーーっと画面に首ったけ。

終盤のコカインでキメてあたふたするシークエンスも、独特の編集と、最高のロック、レイ・リオッタの顔、トマトソースへの異常な執念など、ハイでおかしくなっている表現が天下一品。

振り返ると美点の多さは枚挙に暇がなく、何度見ても感動を伴った鑑賞ができそうな名作です。
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