猫脳髄

血ぬられた墓標の猫脳髄のレビュー・感想・評価

血ぬられた墓標(1960年製作の映画)
3.3
黒沢清「ホラー映画ベスト50」(1993)第16位

マリオ・バーヴァの古式ゆかしい怪奇映画。イタリアでもハマーばりの作品撮っちゃるわい!という意気込みを感じる意欲作。舞台を19世紀初頭のモルドヴァ(モルダヴィア)から現ウクライナにかけてのカルパティア東部に設定し、2世紀前の魔女伝説が息づく土地柄を採用している。

モスクワに向けて旅する2人の医師が誤って2世紀前に処刑された魔女を蘇らせてしまい、当地の領主の娘(バーバラ・スティールが魔女と2役)が復讐のために狙われるという筋で、いたってクラシック。

ただ、ショック・シーン(スパイクだらけの仮面を顔に打ち込まれる冒頭シーンがたまらない)へのこだわりや、活劇要素を盛り込むなど、ハマー・フィルムに追いつけ追い越せの努力が滲む。バーヴァが撮影も担当しているが、豪華なセットをぐるりと回るカメラワークが誇らしげ。
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