m

花様年華のmのレビュー・感想・評価

花様年華(2000年製作の映画)
2.5
雰囲気で保っているだけの作品。それを楽しめるか否か。

巷では名作として名を馳せている今作だが、美しい映像とチャイナドレス以外には中身が無く、敢えて書くことがない作品だった。美しい、という言葉以外に感想がない不倫映画。好きな人はとっても好きだろうからなんとも感想に困る。
『メットガラ ドレスをまとった美術館』で今作が登場していて、観たかったのだけど、チャイナドレスはもう見惚れるほど美しかった。それを見れたのはよかった。

1962年、香港。新聞編集者の男性チャウ(トニー・レオンさん)と商社で秘書として働く女性チャン(マギー・チャンさん)は、同じ日に同じアパートに引っ越してきて隣人になる。やがて2人は互いのパートナーが不倫関係にあることに気づき、時間を共有するように。そんなストーリー。

雰囲気はとても良かった。よかったんだけど狙い過ぎな、作り込み過ぎな画で、私は苦手だった。映画を盛り上げる音楽や都度都度繰り返されるスローモーション、男女の微妙でプラトニックな距離感など、監督の【監督が作りたい】作品が全面に押し出されていて、美しいんだけどどこか、くどく感じられた。あまり説明のない今作。それも監督の「察してよ!」感があって、大人でエロス、甘美な映画というよりは監督のエゴを感じてしまった。画をつくるあまり、人物像をより明快にすることが疎かになっている気がする。男女の心の機敏を感じ取りたいが、そこが疎かなぶん、ついていけない。それが大人のプラトニックな不倫だ、と言われてしまえば元も子もないが。

とりあえず私には合わなかった。ただ煙草の演出は美しくて見惚れた。お互いのパートナーが好きなものを頼む食事のシーンはクスッと笑えた。

凄く『燃ゆる女の肖像』を思い起こされた。好きな人は好きなんじゃないかな。

ストーリー : ★☆☆☆☆
映像 : ★★★★★
設定 : ★★☆☆☆
キャスト: ★★☆☆☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/恋は、もうはじまっている
m

m