エヌオー

花様年華のエヌオーのレビュー・感想・評価

花様年華(2000年製作の映画)
4.5
狭さの映画。 画面をひたすら縦に切り分ける壁や扉に、行き場のない動き=感情を持て余すふたりの右往左往ぶり。タクシーの異様な天井の低さ。何しろ息苦しく、酸素が足りない。 食事を詰めてもらう地下の食堂の建物も狭い壁に挟まれてる上にカメラが壁寄りに据えられて、決して屋外ではない。(まるで小津の浮草の雨のシークエンスのセットのようだ。そういえば、この壁が出てくるショットで2度?雨の中をトニー・レオンが奥から手前に走ってくる!) ラストショットのカンボジア(だったか)の寺院を捉える横移動の広々としたロングショットにはもちろん2人はいない。2人は永遠にあの狭さの中に閉じ込められている。 ウォン・カーウァイの作品の中では最も優れていると感じた。
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