えそじま

黒い罠のえそじまのレビュー・感想・評価

黒い罠(1958年製作の映画)
4.5
流石に面白い。あの長回しだけで白米三杯いけるというのに。

重たそうに引き摺られるウェルズの巨躯、それをさらに画面いっぱい広げるようにして執拗に下からあおるカメラ、疲れ切って弛んだ皮膚、目元の隈、諦めたように垂れ落ちた瞼、しかしその下からかろうじて失われることのなくギラついた眼光、そのすべてが長年の苦労と陰謀と虚の名声と正義への諦念をものがたっているみたいだ。

川辺の廃棄物溜まりに流れ込んで澱んだ水、ウェルズはそこを一瞬見つめて涙を流すが、これは『酔いどれ天使』で三船敏郎と志村喬が見つめていたドブ沼と同じ悪臭がする。
えそじま

えそじま