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ヒミズのsiesutaのネタバレレビュー・内容・結末

ヒミズ(2011年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

自分が多くの時間を過ごしてきた地獄がここにある。そんな風に思わせてくれる作品。
だから自分にとっては傑作。

普通では無い環境であるからこそ、"普通の幸せ"に強い執着をし、自分がまだ普通であると常に言い聞かせている。そんな住田を救うことで、依存することで自分も救われる茶沢。2人の地獄と思春期特有の心のチグハグさがストレートにぶっ刺さる。

本当に生まれて来なければよかった、お前さえ居なければよかったと言われながら育つ人間は、ああやって未来を夢見ることでしかその時間をやり過ごせないし、
本当は死にたい程苦しいのに淡い希望に縋って自死も出来ない弱さに打ちのめされる。
そういう描写が多くあって本当にドラマとしての出来も凄いもんだなと思う。

そして最後の
「頑張れ住田、夢を持て、世界にたった一つの花よ」
はそこまでに出てきた同じセリフと意味があまりにも異なる。
同じ言葉を使っても、どんな誰が言うか、フィクションは勿論、現実でも重みが違う。
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