Kitty

ヒミズのKittyのネタバレレビュー・内容・結末

ヒミズ(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2回目の鑑賞。

初めて観たときは主人公とほぼ同年代で、そのときは、正直よく分からないままただただ主演二人の熱演と映画から伝わってくる力強さに圧倒されていた。時を経て社会人になり、初見時よりは多少世の中を知り多少は人間を俯瞰的に見られるようになった。住田ほどではないにしろ絶望もした。その今、この映画は刺さりまくる。特に自分で自分を雁字搦めにして深みに嵌まっていく住田の描写は一時期の自分を見ているようでしんどかった。そしてそんな住田が自首前夜に茶沢さんに「結婚して普通の家庭を持つ」という未来を語られるシーンは、当時監督の言っていた「希望に負けた」という言葉がピタッとはまった感覚があった。
人物は園子温らしさと古谷実らしさのハイブリッド的な描写で、現実にはいないけど映画としてその存在に説得力があるキャラクターになっていたように思う。
原作からの改変、夜野を渡辺哲さんにしたのは、作品として成立してるから全然ありだと思う。むしろ、主人公たちにフォーカスが当たりやすくなり、効果的とすら思える。茶沢さんの異常な家庭も個人的にはアリかと思った。それがあるからこそ、茶沢さんが住田に言うセリフが自身が住田と似た境遇を持つがゆえに生まれる物だと感じられる場面が多々あり、茶沢さん自身の希望への渇望と結び付いて「頑張れ」のラストシーンに繋がると思えるからである。
震災の描写に関して言えば、作品の公開時期的に不要ではないけど、過剰だと感じた。そんなにくどく何回も見せなくても分かるし、ラストのオーバーラップ後の頑張れ連呼はあざとすぎて胸焼けがした。

総合的には満足だけど、。
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