アン

ヒミズのアンのネタバレレビュー・内容・結末

ヒミズ(2011年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

映画の撮影中に東日本大震災が起き、脚本を変更したという本作。
震災後の作品という観点から見ると、なぜ原作からストーリーを改変してまで震災の要素を追加したのか、そこに特別な意味はあったのかを考えてしまう。
また、劇中で何度か出てくる「頑張れ」という言葉はどいういう意味で使われていたのか。冒頭に中学校の先生がいう「頑張れ」、母親が蒸発したときに残したメモにあった「がんばってね」と、最後、住田と茶沢が警察へ走る道で叫ぶ「頑張れ、住田」の二つには違いがあるのだろうか。「頑張れ」というのは元から曖昧で意味の広い言葉である。発言する側と、言われる側の関係性によってどうにでも変化する。不責任にもなりえるし、もはやかける言葉が見つからないときに沈黙を埋める言葉にもなりうる。
最後に二人が叫ぶ「頑張れ」は、私は先生と住田の母親が使った「頑張れ」と同じ類のものじゃないかと思った。住田と茶沢は、もはや「頑張れ」という漠然とした希望にすがるしかなかったのではないかなって。
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