【1931年キネマ旬報外国映画ベストテン 第3位】
『ジキル博士とハイド氏』ルーベン・マムーリアン監督作品。ゲイリー・クーパー、『アメリカの悲劇』シルヴィア・シドニーが主演を務めている。
ギャングの娘ナンと堅気の男キッドは恋仲にあるが、ナンは父親の身代わりに刑務所に入れられる。その間にギャングに入ったキッドは出所したナンと結婚しようとするが・・・
話自体は別に変わったものではないが、何気にシーンの繋ぎ方や伏線が上手い。撮り方に工夫があって面白かった。上から顔のアップがきたり、時計の進み方で時間経過を表したり。
一番の極悪人はナンの父よね。娘を平気で刑務所に入れて結婚を邪魔する毒親でしかない。結局最後まで制裁を受けないのがもどかしい。
物語自体はありふれたものであるが、短い割に二人の恋模様が丁寧に描かれており好感を持った。サスペンス的見せ場もあるし、ゲイリー・クーパーのかっこよさ、シルヴィア・シドニーの可憐さを引き出してもいる。
かなりよくできた映画だと思う。クライム・サスペンスとしてもラブストーリーとしてもレベルの高い作品。