みゅうちょび

Tommy/トミーのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

Tommy/トミー(1975年製作の映画)
3.8
大好きな監督ケン・ラッセルが爆音バンドザ・フーのロックオペラtommyを映画化した作品。ザ・フーのヴォーカル、ロジャー・ダルトリーがトミーを演じています。(ちょっと若さが足りません。)

音楽や芸術をこよなく愛し、それらの世界の天才アーティストと言われる人物たちの映画を撮り続け芸術を知り尽くしてきた監督の創り出すアートロックの世界。

夫が戦死したと知らされ1人トミーを出産した夫人ノラは愛人を作る。ある夜2人が関係している現場に突然帰還した夫を愛人が殺害。それを目撃した幼いトミーに2人は、「何も見なかった!何も聞かなかった!一生誰にも言ってはいけない!」と言い聞かせたことで、トミーは視覚、聴覚、言葉を失ってしまう。
作品はそのトミーがピンボールに才能を見出して最終的に心の自由を取り戻して行くというものです。

ロックオペラですから、全篇歌で綴られます。登場人物達がとにかくユニーク。

エリック・クラプトンが七年目の浮気のスカートがめくれ上がったモンローの偶像を崇拝するカルト教団の教祖だったり、抵抗出来ないトミーを虐待する従兄弟ケビンや、ザ・フーのドラマーキース・ムーン演じるトミーに性的虐待をする叔父、薬物治療でトミーをドラッグ中毒にしてしまうティナ・ターナー演じるアシッドクイーン(怖いです^^;)、エルトン・ジョン演じるピンボールの魔術師などなど…
いかにもケン・ラッセル的な大胆な衣装で登場します。

美しい物も醜い物も個性に変えてガンガン画面に押し出してくるケン・ラッセルという監督のエネルギッシュな映像表現は、耐性の無い方は毒気にあてられるかもしれないので注意。とにかく圧巻です(`_´)ゞ

因みにザ・フーのオリジナルでは、殺されるのは愛人の方ですが、映画的に観客にとって受け入れやすい設定にしたのでしょう。また、アルバムの曲をそのまま使っていないのはアルバムファンにとっては残念なところ。
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