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日本妖怪伝 サトリのニューランドのレビュー・感想・評価

日本妖怪伝 サトリ(1973年製作の映画)
3.4
☑️『日本妖怪伝 サトリ』及び『処刑遊戯』▶️▶️
’70年代、大撮影所衰え、ゲリラ·ポジションの作家的職人性と·映画美へのストレートな接近作、のウェートが増した時代の、柔らかか·強引にそれを打ち出すかで、観客の負担は随分違ってきてた、時代を思いおこさせる2作。その時代を代表する2人の撮影監督の腕前が味わえもする。そして同じく時代を代表の、緑魔子·優作·山谷·りりィらの佇まい。
『~サトリ』。自然等の環境により只1人とされた人間が、孤独に耐えきれず喋り通す中で、現れるサトリを見て、アクシデント以外は考えてる事を見抜き追い詰めるそれにより、喰われ破滅させられる、伝承との交感。造られたサトリの方がリードして操り、また人に興味持ち·昔話から抜け·すり寄ってきて、妖怪の価値を失ってる現代の形だが、その術中に自らはまり自滅してくも変わらず多。その存在を否定せず、見抜かれるを恐れず喋れる者らは、現実で愛する者らが消えてゆくは、彼のせいと決めつけ、未来を閉ざさずにいられたり、彼を問題にしない者は、彼を妨げて害してくるを問題にせず、実際の自然や過去(遺跡のような)を開拓者·旅してく。2人は女と男として、自然結び付いて、サトリも振り回され、決定的に傷ついてく。しかし、2人にも、現実の人らの内側からの脅威はいなせても、その直接的外敵暴力には限界があり、実際賢明なの方が命を落としてく。
しかし、それを描く田村のカメラこそが主題を何倍にも純化し、膨らましてるのが本作。花道か囃しや·祭りのような·またはクラシックに繋がる音響の盛り上げや、係わり添っても来る人間の各々並び囲みもある中、ロケや簡易セットを与えられ、カメラの力や動きだけが、より美と存在の本質の不可思議さを掴み取り、表現たるベースとトップに還元してく。砂浜·草むら·石橋·電車内やホーム·偉容示す魚ら·水族館の器、澄んで簡素な美術·空間を前後や左右や回るに·説明を越えて透明·清廉に只·しかしより高邁に動き回るカメラ、2人の離れめトゥショットの線をティルト·パンの長めで延々繋ぎなぞる、電車内等揺れや·草地に立つ人間を捉えぐるぐる果てなく激しく何回転もし続け空撮めへも·平気、闇や焚き火の屹立や陽光や裸体や廃藁葺き家の捉え方自体の純度そのもの、90°変や浅め切返しやCUのより純な反デクパージュ、各人の顔の捉え方もデクパージュのひとつではなく屹立し各々に味がある。テーマより、スタジオシステムが崩壊していった’70年代で、あるべき最良の美のあり方を証明してる作。
しかし、美や個性·テーマに拘ってる訳でもなく、ムードや行きずりやパターンで安易めに流してる事にもそれ程抵抗を示してないのが、東タッチで田村を表現者の孤高に送りこんでないのがいい。緑や山谷·次郎·慶·𠮷行らを役作りなどを越えて、本当に伸び伸び·鮮やかくっきりと演技させてる。東や黒木の岩波出身、一般的に晩年に至ると日本映画の至宝的扱いもされたが、個人的に各々夢中になった作品は実は1~2本しかないが、その一般賛辞に何の違和も抱いてなくて、賛同はできなくも反対もしないくらい、気持ちいい2人の作家と言える。
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黒沢=村川=優作=仙元の『遊戯』三部作で、最終作の『処刑遊戯』だけ、ガクッと評価が落ちるのは、内容·技術が緩んできた、というのでなく、監督·撮影ら技術·俳優が、殆どプライベートな存分の世界の実現·達成に傾いたからだ、と40余年ぶりに確認の為に観て、改めて実感。アメリカ映画史のTVシリーズで、’70年代作家の共通の友人の言葉を思い出す。「その映画はスピルバーグ·ルーカスとはまるで違います。2人は中産階級に向けての、つまり誰もが感動する映画を目指しています。彼はと云えば、自分が感動すればそれでいいのです」。まぁ、立派なんだろうが困り者でもある(低予算詫びながらの1作目の好感、ストイックに自分を殺した2作目に比べると)。
仙元の、照明や空気·色彩·粒子の青·灰·赤·緑·闇と影ら様々厚みのモノトーンの切り替·組合せ、大胆な能動的カメラワークとアングル組合せ·説明や確認をスッ飛ばしたスピード、優作ら俳優の自己耽溺的な過剰振り付けのリアクション演技·体技、詩情あふるる自然内やスロー·プライベートな過去へ向けての語り台詞、効率的なのか無駄ばかりなのか分からない思い入れと展開(警察や組織を超えた「機関」の勝手な流れ振り回し)、カットカットで極めてく力·締め·アクション·血の赤の立体運動力突っ走り、韜晦やユーモアの全面排除と代わりの時計屋の少女エピソードの幕間毎挿入。結果、軽みや表現者羞じらいのない、垢抜けない重みが残ってしまった。
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