YasujiOshiba

デモンズ3のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

デモンズ3(1989年製作の映画)
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BD。E君のおすすめ。原題は La chiesa (教会)。そうなんだよね、教会って成人や殉教者の墓の上に建てられることが多い。聖域というのはそういうものであり、もっと遡れば、人間が定住するようになって以来、死体を傍にして生活するという状況と、いかに折り合いをつけるかが問題になってきたわけだ。

移動しているときは、死んだ者は放置して忘れてしまうことができたわけだが、定住するとそうはゆかなくなる。死者は常に傍にあって、おまえもまたそうなるのだと語りかけてくるわけだ。だから墓を建て、墓地を囲み、鎮魂の碑を建て、神殿や教会を建てるわけで、その意味で死を傍において封印するというわけなのだ。

ロケに使われたゴシック聖堂は、外観がブタペストにあるマーチャーシュ聖堂とのこと。壊れてしまっい尖塔だけが残ったほうは、ハンブルグの聖ニコライ教会とのこと。

それにしても思い出すのはブニュエルの『皆殺しの天使』(1962)。どういうわけか閉塞状態に置かれてしまった人間模様。そういえばソアーヴィ監督はデビュー作の『アクエリアス』もそんなシチュエーションだったけど、こちらはもう少しお金をかけての閉塞状況。そこに悪魔を閉じ込めておくというアルジェント特有のテーマがからんできて、中盤少しだれるのだけど、ラストにかけて面白くなってゆく。

アーシア・アルジェントがいい味出してるな。まさに天使。彼女は『デモンズ2』がデビューで、そのあとクリスティーナ・コンメンチーニの『Zoo』(1988)で主演。これ、イタリア版ならYTで全編見られるみたいなので、ここに挙げておこう。

Zoo (Cristina Comencini, 1988) - Film Completo
https://www.youtube.com/watch?v=mbuYXSSQpkQ

追記:
ミケーレ・ソアーヴィの長編2作目なんだけど、YTのインタビューを見ると、その前にテリー・ギリアムの『バロン』(1988)でセカンド・ユニットの撮影を担当していたらしい。150人規模のスタッフのトップに立ち、アルメニアやチネチッタなどをめぐりながら、8か月続く撮影だったという。そういう経験もあったのだろう。それまで『シャドー』(1982)、『フェノミナ』 (1985)、『オペラ座』 (1987)など、ダリオ・アルジェント作品の助監を務めてきたソアーヴィに、この『デモンズ3』の監督が託されたということらしい。

https://www.youtube.com/watch?v=M79txrdDvFs
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