柊渚

ペーパーバード 幸せは翼にのっての柊渚のレビュー・感想・評価

4.4
スペイン内戦で妻子と生きる希望を奪われた喜劇役者が、同じく内戦で親を亡くした孤独な少年と新しく親子の絆を培っていく物語。

久しぶりに嗚咽するくらいだっばだば泣きました( ;∀;)
ティッシュが足りないし、このジャケット見てるだけでももう泣けてくる…。


戦争で妻子を失った喜劇役者ホルへ
相方のエンリケ
そして戦争孤児のミゲル

最初は亡くなった息子と同じ歳ほどのミゲルを受け入れられずにいたホルヘの心が、エンリケの優しさとミゲルの明るさに触れることよって徐々に和らいでいく描写がほんと絶妙。ミゲルが二人の上辺だけの喜劇をいつのまにか本物に変えてくれていたんです。

そして食べることすらままならない貧しくて厳しい生活の中、三人はまるで本当の家族のように絆を深め、歌や芝居をしながら仲間たちと舞台の上に立つ小さな幸せを噛締めて生きていく。

しかし、そんな小さな幸せすら長続きしてくれない時代。後半からは予想外にサスペンス要素が強まりスリリングな展開になっていく。白いペーパーバードが宙を舞うシーンが辛い…(/ _ ; )

この作品の舞台はスペイン内戦後、フランコ独裁政権下のマドリード。とりあえずこの時代はスペイン人にとって辛い歴史だったんだなという認識しかなくて、自分の勉強不足を痛感しました。日本における戦後とスペインにおける戦後の意味合いは全然違ったんですね。また見直してみよう。


「自分が愛する人はどこへ行こうと、いつも一緒」

このストレートなメッセージに胸打たれるラスト。
過去が今をゆっくり追い越していく…。
たとえ遠く離れてしまっても、時を経ても、愛する人はいつもそばにいてくれるのだ。

笑って泣いて感動がじんわり沁み渡る素敵な作品。
これはもうハンカチ必須です(゚´ω`゚)
柊渚

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