ながの

風たちの午後のながののレビュー・感想・評価

風たちの午後(1980年製作の映画)
4.0
「風だ…風だ、こいつを見たヤツは誰もいない」
作品冒頭に映されるこの言葉は川島雄三の遺言らしい。タイトル「風たちの午後」は山口百恵の曲の引用らしい。

劇中流れる曲がやたら現代的でかっこよくて、この時代にこのセンスの曲あったの?と不思議に思い調べたら、Drop's等やはり現代のアーティストの曲だった。著作権の問題でオリジナル版の音源が使用できないため差し替えているそう。
そして驚いたのが、それに伴い、曲が流れているシーンでの美津と夏子の会話は、40年経ってからアフレコされたものとのこと。斬新だけど全く気付かなかった!!

傷んでいたフィルムもリマスターによって完全復活。台詞は聴きづらい部分も多いが、鑑賞にあたって支障はない。タイトルバックのパートカラーが印象的ですが、メインは白黒。(クライマックスは…!)これによって、ヒロインの夏子が生き生きと映っていて素晴らしい。夏子が部屋の窓を静かに開けて覗くところとか、歯を磨いて部屋を出ていくところとか最高。ラストシーンはいろんな解釈ができるけど、鬱くしく美しかった。
劇中曲が現代の曲なのも相まって、時代感が全く分からなくなったし、時代を超越してしまった作品だった。1980年の作品ではない。

ちなみに赤い花を吐いたトイレは室井滋の部屋だったそう。
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