ポンコツ娘萌え萌え同盟

隠密秘帖 まぼろし城のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

隠密秘帖 まぼろし城(1956年製作の映画)
3.0
原作高垣眸で、主演が大友柳太朗で覆面被ったらそれはもう『黒頭巾』なんですよ。本作も覆面被る場面はある。
でも「まぼろし城」は木暮月之介シリーズで「黒頭巾」とは時代背景も役割も異なる。原作が戦前の少年倶楽部で、「まぼろし城」以外にシリーズは「荒海の虹」や「渦潮の果て」と続く(少年俱楽部文庫にも収録)
私は荒海の虹が一番すきですね。

1956年版「隠密秘帖まぼろし城」は月之介の活躍、髑髏と黒服を羽織る怪しいまぼろし武士たちとの戦い、山絵図を巡る部分をベースだが、原作と展開などの相違点がそれなりにある。
原作の「まぼろし城」が快刀乱麻な如し、月之介のヒーロー活劇がダイナミックに描写されている。
ただ、「隠密秘帖~」の方はチャンバラヒーロー活劇の中に豊臣の再興の目論みがあったり、皆殺しの後の無惨な絵面を映したりと、本来のターゲットより少し対象年齢を上げた感覚のあるアレンジをしている。
(ちなみに豊臣の残党と敵対するのは原作月之介シリーズだと「渦潮の果て」)

一方で本作は原作読んでないとイマイチ腑に落ちない点もある。それが城主、まぼろし武士たちの正体だ。本作のイメージをそのまま捉えると邪教崇拝者のように見えてしまうのがミスリード。
まぼろし城内にある椅子のデザインから、処刑のための十字架の小道具、催眠術の場面でチラ見し、城主が正体を現した時に見える衣装など西洋的なオブジェクトがある。それは何故は原作でははっきり序盤から書かれているある設定なのだが、本作はその設定を隠し通してる。
結局原作読まないとモヤモヤが残る可能性がある困った作りの観点がある作品だった