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途方に暮れる三人の夜のMTMYのレビュー・感想・評価

途方に暮れる三人の夜(1987年製作の映画)
3.7
ロサンゼルスの夜。ビデオ・アーティストのアリーシャと彼女のボーイフレンド、クレイグはお互いを求めながらも倦怠期を迎えたカップル。2人の親友で、ゲイのアーティスト、デイヴィッドもまた、自分の今後の行く末を案じる身。3人は孤独感と精神的な葛藤を抱え、互いに愛情を求めながら、混乱し、傷つけ合ってしまう。
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アラキ監督作品4作目の鑑賞はこちら。
長編第1作目ということで、全編モノクロ。
次作が『#リビングエンド 』だと思うと、本作に比べて相当反骨精神というか芸術性みたいなのを爆発させたなーと思うくらい違う。
以降の他の作品では全く感じられない「ジム・ジャームッシュ」みがあるのが信じられません…笑
グレッグ・アラキは微妙だけどジャームッシュは観る、という人がいたらぜひ見てみてほしいです。

自分の人生の方向性が見えない登場人物3人が不器用に絡み合う”成り行き感”がまさに題名通りで、それ以上でもそれ以下でもないです。

アラキ監督の作品をみていると、電話やビデオ録画のシーンがふんだんに挿入されてるので、その原点がこれって言っていい気がします。
恋人と友人との関係に悩むアリシアが、自分で自分の心のうちを吐露してビデオ編集するのですが、
監督にとって、記録として映像で残す行為が「(社会への)自分の存在証明」みたいな感じになってるのかなと。
『リビング・エンド』ではレコーダー、
『トータリー・ファックト・アップ』ではビデオが使われてました。

電話も、監督からしたら人と人を繋げる「ライフライン」として強く位置づけてるのかなと感じます。

電話もビデオも、今となっては呼吸のように気軽に使う分、そういう重要性が薄れてきてるように思います。なのでなんだか…悪いことでは全くないけれど、ちょっと寂しくなりました。

渋谷TSUTAYAにあとアラキ監督の作品がいくつあるのか微妙ですが、『ドゥーム・ジェネレーション』はあるの知ってるので借ります。あとは『ノーウェア』はマストで観たくて、あとは『カブーン』です。探します!
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