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少年マイロの火星冒険記 3DのRenのレビュー・感想・評価

少年マイロの火星冒険記 3D(2011年製作の映画)
2.0
あまり使ってはいけない言葉だけど使わせてほしい。気持ち悪い。これがコケるのはそりゃそうだろって感じだし、ディズニー配給の黒歴史で確定でよかろうと思います。迷作や珍作という言葉がとてもよく似合う。

背景の作り込みはとても良いのですが、キャラデザが完全に不気味の谷の最深部に落ちてしまっており背筋がぞくっとする。モーションキャプチャーの意味も大して感じられない。
冒頭からマイロがガキ特有のウザさMAXなのが表現としては成功している一方で、こいつが成長しようがしまいがどうでもいいわと思ってしまった。物語は感情移入が全てではないけど、主人公のことをどうでもいいとは思わせないでほしい。

中盤の急に救いのない悲しすぎるトラウマエピソードも謎。親子の愛を押し出した作品ならばそれに応じた克服・救いも存在するべきなのに、特に示唆の無いトラウマで終わってしまっている....。物語上、システムや思想の異常性を補強するエピソードにはなっているけど、それを救いも用意せずメインキャラクターに背負わせるのはちょっとよく分からなかった。

ラストのマイロの母親の選択には唯一泣きそうになりました。火星での独裁・洗脳国家に対して親子の愛というミニマルでかつ巨大な力が勝っていく。自分は家族が必ずしも血が繋がっている必要は無いとは思っていますが、「家族愛」に帰着させる話としてはとても良かったのではないかと思います。
それだけに結論ありきの話として、例えばピクサーならその道中にもっと理論付けを為すだろうな....と余計なことを考えてしまう結果に。今作の中盤とか 捜して→逃げて→落ちて を3回くらい繰り返しているだけですからね。
高所壁面アクションはアニメならではの緊張感と鮮やかさがあって唯一良かったですが。

ストップモーションアニメと同じように、エンドロールのメイキングが一番面白かったかもしれません。ロバート・ゼメキスはなぜか00年代にモーションキャプチャーに執着していたけど、そのどれもが成功とは言えず、その後実写に戻ってくれてよかったと思います。
他にも色々気になることはあるけど、マイロの父親の声優が設楽統だったのが一番ハテナでした。
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