さりさり

フューリーのさりさりのレビュー・感想・評価

フューリー(1978年製作の映画)
3.0
私のトラウマ映画です。
あれは確か中学生の時、TVの月曜ロードショーでこの映画を観ました。
超能力の映画ということで、興味津々で観たんです。
ちょうどその時期、母は腸の手術で入院、父は毎晩飲んだくれて早くに就寝、弟はまだ小学生だったのでその時間帯はもう寝ていました。
なので、一人で観たんですね。
このホラーを。
何も知らずに…。

最初は楽しく観てました。
出て来た女優さんに「この人『キャリー』のいじめっ子じゃーん!」と一人でツッコミ入れたりなんかしてたんです。
しかし、ストーリーは徐々に怪しげな雰囲気に…。

そしてついに、あの恐ろしいラストが!
恐怖のあまり画面を正視できず、超薄目で画面の端っこの方に視線を移したんですが、僅かに映像は目に入って来ます。
私の顔は引きつり、体は震え、しかし泣くことも声を出すことも出来ず、ショック状態のまま固まってしまいました。
恐ろしいものを観ました。
一人で観ていたから、なおさら怖かったのです。

映画が終わってからもずっと放心状態で、荻昌弘さんの解説も全く頭に入りませんでした。
もちろんその夜はなかなか眠れず、布団の中で震えながら、観たことを後悔しました。

翌日、誰かにこの思いをぶつけたくて、入院中の母に会いに行きました。
母の顔を見るなり「昨日の映画、すっごい怖かったー!」と半泣き状態で母に訴えると、母は「あ~、あれね! お母さんも観たよ。なに、怖かったってさ〜。全然怖くなかったっしょ〜!」とケロッと言って、ガハハと笑いました。
私は茫然として言葉を失いました。

母は強し。

てか、病院の消灯時間全く無視して、シッカリ最後まで映画を観たという母の図太い神経が、私は一番怖かったです…。

*****

時を経ての再鑑賞。
そうか、こういう話だったのか。
すっかり忘れていました。

そして問題の恐怖シーン。
どうやら私の記憶違いだったようで、恐ろしいシーンは後半1回とラスト1回の計2回ありました。
2つのシーンが1つになって、私の記憶に刻まれたようです。

いや、しかし、大人になると神経が図太くなるのでしょうか。
「およよ〜!」と思いながらも、この2つのショッキングシーン、ちゃんと正視出来ました。
特にラストのおよよシーンは、巻き戻して3回も観てしまいました。
デ・パルマ監督、やってくれたな! って感じです。

母は強し。

私も図太くなりました…。
さりさり

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