このレビューはネタバレを含みます
韓国の秀作『モガディッシュ 脱出までの14日間』から数年先に時間軸をおいた、ドロ沼化する市街戦激化真っ只中のソマリア内戦を舞台とした作品。ザラっとした質感の映像が印象的。
繰り返しブラックホーク・ダウン!と叫ばれる無線連絡の絶望感がハンパない。
錚々たる俳優陣が一旗揚げるべく若武者兵士として勢揃い。
ユアンマクレガー(ニカッと笑いは戦場でも健在)、エリックバナ(無双モード)、オーランドブルーム(優男的ダサさは新兵時代から)、ジョシュハートネット(いまどこおるん)、トムハーディ(細い声高い)、そしてユエンブレムナー(もしトレスポのスパッドが戦地へ紛れ込んだら〜)。
彼らがバタバタと死んでゆく悲痛な展開を予想しハラハラしながら観賞していたのですが、主だったメンバーは意外と死なない。エリック・バナに至ってはメタルキングの鎧でも纏っているかのようでした。
語り口は完全にアメリカサイドへ寄っており、ゴア描写を用いたソマリア側の被害状況は映し出されず、彼らがそこに居る背景も描かれない。そのため徹底してソマリア側へは感情移入させない構成だと言える。
天下無双クチャラーのエリック・バナがラストで語る軍事介入に対するアンサーも、腹落ちし難い論調でした。なんだかなぁ。
ただ、2h半ぶっ通しでヒリヒリしっぱなす戦場への臨場感と迫力は、公開後20年余りが経つ今も尚一見の価値あり。
流石は製作ブラックカイマー。良くも悪くも色が出ていた。