Aria

ブラックホーク・ダウンのAriaのレビュー・感想・評価

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)
4.0
再鑑賞

何年か前にクレイジージャーニーで『20年間無政府国家で、国際社会から放置されたソマリアに潜入』という放送を見た時「ブラックホークダウンの所か!」と思いそれまで見ていなかったこの作品にやっと手を出した。

将軍を捕らえた所で俺たちがアメリカ式民主主義に従う事は無いーー

ソマリア内戦に対するアメリカを筆頭とする他国の介入。戦闘機ブラックホークが撃墜されてから始まる仲間の救出作戦

平和ボケしている私には本当に異次元の世界。エリックバナだっけか、戦地に行く理由を「仲間がいるからだ」と言っていたのが何とも…ソマリアの内戦を止める事という国際的、政治的な是非なんてイチ兵士にはそんな大義は関係無くて、ただ上からの命令に従うまで。自分の命に関わるこの行動に意味を見出すならば「仲間がいる」これ以外に無いんだなと…

英雄譚ではなく現実だけを突きつけられる

アイディード派の兵士が、捕虜パイロットに言った言葉が印象的。「将軍を捕らえた所で俺たちがアメリカ式民主主義に従う事は無い」

この軍事介入が果たして正解だったのか、ソマリアの内戦に対して国際社会はどのように支援するべきだったのかを考えさせられる。

このアメリカの失敗から国連はソマリアを「触れてはいけない国」にしてしまった。
アメリカが主導権を握る国連、独断で進められた暗殺作戦、そして撤退。そんな歴史的撤退があった日から今もなお戦地に置きざりにされたままの無関係のソマリア人。

映画的演出だと思うけど、装甲車に乗れずに走って基地に戻らされた兵士たちを応援していた民間人たちのように、実際に内戦と無関係なソマリア人は沢山いて、国連が手を引いてからこの数十年間の間に、銃弾に倒れ貧困に苦しんだ無関係の人たちのことを思うと、映画とは関係無く悲しい気持ちでいっぱいになる。

この映画に英雄はいないし、英雄になるために戦地に行った人もいない。たまたま英雄になった人がいるだけ。たまたま誰かにとっての英雄になっただけ。その英雄も別の人にとっては英雄でも何でもない。
Aria

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