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ブラックホーク・ダウンのryotothefilmlogのレビュー・感想・評価

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)
3.6
「俺たちは仲間のために戦うんだ、必ずしも英雄になりたい訳じゃない」。
それは戦場に赴く人間の偽らざる本音のひとつなんだろうけど、果たしてそれだけで説明してしまっていいのだろうかという疑念がうっすら残る映画。

リドリースコットはそのバイアスをどこまで意識して撮ったんだろうか…。
劇中ではアメリカ側に何となく肩入れして観てしまうけど、ソマリア側に「俺たちはずっと殺し合う歴史なんだ」と語らせてしまっていいのかと。
まあ紛争や内戦のリアリズムに基づいた描写なんだろうけど。

銃を構える者は同じく誰かが構えた銃で撃たれる覚悟を持つ必要があるはず。
そこを踏まえた上でそれでも銃を手に取る必然性はどこにあるのだろうと改めて考える。

人類史において最初に銃を構えた人間は他者から何を奪いたかったのか、あるいは何を守りたかったのか。
そんなルーツなど最早辿りきれないほど暴力と報復の連鎖はこの世界に渦を巻いているのだけど。

総じてアメリカ側に肩入れし過ぎている視点だとは思うけど、上記のような問いが幾つも浮かぶという意味においては意義のある一本なのかな。
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