かじドゥンドゥン

ザ・ブルード/怒りのメタファーのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

3.0
心を病んだ妻ノーラを精神科医ラグランにあずけ、一人で幼い娘キャンディを育てているフランク。ラグランは、患者の怒りをあえて誘発し、まるで膿でも出すように物質化・可視化して排出させるという独自の理論を提示し、臨床で実践している。

フランクは、ラグランが自分の妻だけを特別視し、囲い込んで、自分の治療法の実験台とサンプルにしたがっているのではと疑い、彼の治療施設に押し入る。しかしそこで明らかになったのは、ノーラが特異体質で、怒りの感情が生じるたびに彼女の皮膚のできものが膨らんで子が産まれ、その怒りの子たちが実際に怒りの対象を殺害しているという事実だった。フランクは、我が子キャンディを救うべく、ノーラの首に手を掛けて彼女を殺め、怒りの子らを消滅させる。

これで一件落着・・・と思いきや、帰宅途中の車内で助手席に座って黙り込んでいるキャンディの肌に、ポツポツとできものが・・・。

人間の感情や精神の不調を唯物論的にとらえて処理しようとするマッド・サイエンシストの話かと思いきや、むしろとんでもない患者を抱えながらそれをどうにか自分の手もとで押さえ込もうとし、自己犠牲も辞さないような、けっこう良い人だった、というオチ。