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ザ・ブルード/怒りのメタファーのdirのレビュー・感想・評価

3.8
子どもが旦那の手に渡ってしまうくらいなら、いっそその子も殺してしまおうかしらという歪んだ母性愛が、様々な姿に具象化して自分の願いを叶えようとする突飛な着想がいい。色盲、無性器、無歯、ヘソがなく無表情の子どもの手が四方八方から攻撃してくる謎の事件からわりと面白くなってくる。

とびきり気味悪いのは、単為生殖で産まれた血だらけの赤子のからだを母親が舐めまわすミソジニー的シーン。クローネンバーグらしい粘着質なボディ・ホラーというところ。

この映画は、母親の精神疾患と粘着質な愛情をミソジニー的に描いている。女性である以上、出産という行為に縛られ続けなければならないという、事実も投げかけられる。これが、意外と重たいんだ。
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