アニマル泉

脱走遊戯のアニマル泉のレビュー・感想・評価

脱走遊戯(1976年製作の映画)
4.5
新文芸坐で追悼・千葉真一。脱走屋の物語で監督は山下耕作。冒頭から刑務所の塔の屋上に千葉真一が登り、ヘリコプターで脱獄、しかも千葉はヘリコの縄梯子にぶら下がったまま、ワンカットで囚人服から平服に着替える。常軌を逸したド派手なオープニングだ。脱走屋の物語なので高い壁を乗り越えて何度も刑務所に出入りする。本作は「高低差」が主題になる。壁をよじ登る、飛び降りる、屋上から収監舎の窓に移動する、千葉の身体を張った「強靭なアクション」が素晴らしい。あるいは小さな窓や換気口をくぐり抜ける「しなやかさ」が美しい。壁や空からがダメならば地下からトンネルを掘るしかない。マンホールや地下下水での脱走劇も活きいきしている。
山下は俯瞰ショットが特徴だ。千葉のガツガツした食べっぷりが面白い。捨て子で出自も定かでない千葉と刑務所で生まれた鰐淵晴子の行き場のない生の燃焼が切ない。黒幕の教誨師の小沢栄太郎がさすがの貫禄。東映シネスコ。
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