イチイ

絶唱のイチイのレビュー・感想・評価

絶唱(1966年製作の映画)
2.0
大地主のひとり息子のジュンキチが、実家の使用人の山番(山林の管理人)の娘のコユキと身分違いの結婚を約束するも、すでに町の有力な家との結婚を取り付けていた父親は絶対に反対。ジュンキチは家を捨て、ふたりで港の小さな町で結婚生活をはじめる。しかし戦争がはじまりジュンキチは戦場へ。ふたりは戦場とクニで、毎日3時に吉野木挽き唄を歌うという約束を交わし、絆を確かめ合うという恋愛ドラマ。

社会や国が障害となってジュンキチとコユキの恋を妨げ、悲しい結末へと追い込んでいく様を悲しむお話。ジュンキチは田舎(島根らしい)から京都の大学へ行った進歩的で人道的な人間として描かれるが、現代の感覚からするとコユキやその家族の気持ちや社会的な立場をぜんぜん忖度せずに、一方的にコユキを気に入り、自分のものにできることをまったく疑わないひとになってしまっている。

最終的にもきっとジュンキチはすべて元通りの生活に戻って、善き人を自認しながらも何不自由なく暮らしていったのではないだろうか。
イチイ

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