ヴァンサン・ペレーズの初監督で、決して大作ではないがこんなにも切なくて美しい映画だったのにまず驚いた。
特に主人公のアンジェルに向けたまなざし。電車で去ってゆく男の窓越しに、彼を見送る姿。親友ジョジアンヌの面会だと思いはしゃいで面会室に向かう姿。今思い出しても胸がしめつけられる。
鑑賞後にここのレビューを読んで気づかされたのだが、これは遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』ではないか。個人的に影響を受けた小説なのに鑑賞中は気づかなかった。思い返せば結構忠実に再現されているように思う。
『秘密』もしかり、ヴァンサン・ペレーズは日本の小説が好きなんだな。
ちなみに親友ジョジアンヌ役のマガリ・ヴォックさんは、数年前にパリで弁護士の資格を取られたそう。