リトルブラザー

Mのリトルブラザーのネタバレレビュー・内容・結末

M(1931年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

最後の私刑裁判がマジで凄い。子供殺しが狂人であることは明らかで、近代の法律に基づけば責任能力無しで病院送りが妥当ではあるが、ぶっちゃけその死を願う感情には同意してしまうところがある。今までも最後に悪役が死ぬ映画を見てスッキリした経験なんてたくさんある。しかしそこで殺人犯は問う、自分を殺す権利はお前たちにあるのかと。裁かれているのは彼なのか?人々=観客なのか?ラストシーンで殺された少女たちの母親が観客に向かって嘆く。映画は被害者への同情を、加害者への憎悪を扇動する。一方でその構造をメタ的に客観する視点ももたらしてくれる。興味深い映画である。
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