LEONkei

MのLEONkeiのレビュー・感想・評価

M(1931年製作の映画)
4.2
裁く者は善なのか悪なのか人間性の矛盾と限界、殺伐とした病んだドイツ社会への批判が描かれている。

連続幼女殺人事件をベースに物語は進行しているものの、その根っこには近づくドイツ国家社会主義体制の不安と抵抗が見れる。


1920年代既成の概念を破った建築〈ドイツ表現派建築〉の建造物が素晴らしく描かれ、急速な経済発展に於いても芸術性やデザイン性も重視している時代。

表現主義の代表的建築家〝フリッツ・シューマッハー〟やモダニズムの〝ヴァルター・グロピウス〟やダダイスム・シュルレアリスムの〝クルト・シュヴィッタース〟など魅力は尽きない。

30年代に入りナチス台頭で強権的圧力によって其れら全て覆えさせられ表現の不自由、芸術も文化も人間も暗い闇から現れた黒影に包まれることを予測した事が現実となってしまう皮肉。


BGMをいっさい排除し言葉の端々を捉え冷たい靴音などの効果音を有効に使う、優れた照明技術で陰影を描き構図やパースは言うまでもなく素晴らしい..★,
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