良い音楽を映画にしたものと、映画の音楽が良いものでは明確に意味も異なる。
この映画はどちらに属するか、非常に難しい稀有な映画だ。
主役の男は実際するアイリッシュロックバンド、ザ フレイムスのギターボーカルであり、それを撮影する監督は同バンドのベースを担当。監督は何を撮りたかったのか判然としない。自身のバンドボーカルの素晴らしさか、それともこの現実的で合理的で妥協的な世界に存在する憂いさ、美しさか。
流れる音楽は素晴らしい。映像は二次的なものとしてアンニュイに表現され、それを埋めるかのように全編を通して音楽が構成されている点がジョン・カーニーの映画らしい。
こんな映画を僕も撮ってみたい、そう思う人は沢山いると思う。僕もその一人だ。
3rd DEC 2016