このレビューはネタバレを含みます
カメラがホームビデオで撮ったのかというくらい粗い。じわじわとズームして行ったり、あっちこっちにパンしたり、と。
そんなカメラが,少し気になりながらもみていくうちに、このフランクなカメラが、このストーリーにあっていると感じさせられるから,不思議。
もちろん,ガッチリカメラ固定して、お互いの背後から撮影して交互にカットを割るという王道な撮り方でもいい話にはなるのだろうけれど、ずっと不安定で、どこにも行き場もなく、そして、恋愛とも呼べないような2人の関係は、描くには、このカメラしかなかったと思わされた。
お互いに友達もあまりいなくて、頼れる人間もおらず、音楽が心の支えになっていて、その音楽でつながっていく様子はとても美しい。歌の力を感じた。
最初に、女性が話しかけてきて、掃除機の修理ができると知ったら、翌日自宅の掃除機を引きずりながら持ってきて、そのまま楽器屋さんとかうろちょろしてるの面白かった。ペットみたいになってた。
2人の関係に名前はないけれど、2人の過ごした時間は、2人にとってとても大切なものになったんだろうな。