Haman

ONCE ダブリンの街角でのHamanのネタバレレビュー・内容・結末

ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

シングストリートもはじまりのうたも大好きなのに出世作たるこれを観てなかったなと思いそそくさと鑑賞したけどめちゃくちゃ刺さった。というか十代とかに観ずに年齢を重ねた今観てよかったなと思った。プラトニックが尊いなんてことは微塵も思ってないけど、人間関係が複雑化するのは大概セックスのせいってことにこの年でようやく気付いたので、主人公二人がセックスしてくれなくて本当によかった。役名がGUYとGIRLだったようにシンプルな関係性のまま終わって、というより始まってもねえ恋愛。まだ夫のことを愛してるのか聞いた時にする字幕のつかないチェコ語の返答。最後まで解答が出されないから気になって調べてみたら「私が愛してるのは あなたよ」だったらしい。なんかもうありがとうございます(?)
楽器屋の主人やレコスタの技師や父親、ジョン・カーニー映画のモブキャラはいつも愛らしい所作の手のひら返しで観客を悶絶させる。つよい。言わずもがなオスカーを受賞した楽曲がさいつよ。特にどう考えても「Falling slowly」な訳だけど、序盤のセッション弾き語りシーンとエンディングで流れる時とでは意味合いが違って聴こえてしまう。こういう演出に弱いので優勝です。クレーンのカメラワークと太陽の反射も心に焼き付いてありもしない記憶にまで思いを馳せて涙ぐむ。やっぱり太陽光線にはそういう魔力があるんだ。とにかくジョン・カーニー映画つくんのうま。
あとまったく関係ないけど掃除機を引き連れて歩く姿に諸星大二郎の「夢みる機械」の表紙を思い出したりなんかした。
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