一部コアなファンにカルトな人気を持つ本作。
映画ファンなら押さえておきたい。
爆笑必至の面白さ(笑)
香港映画のカンフーの振り付けというのは、ハリウッド映画のミュージカルにおける振り付けと同様の重要さを持つので、本来ならその振り付けはキレキレでないと興ざめして面白くないはずなんですが、この作品のカンフーは緩いのに何故か面白いのです。
主人公に魅力がない。
ボスキャラほ弱い。
格闘シーンは緩い。
物語の進行が唐突で雑。
敵対する関係性が単純すぎる。
でも面白い。
それは何故か?
答えは簡単です。
敵のキャラがめちゃくちゃ立っているからです。
沖縄空手の使い手、韓国テコンドーの使い手、柔道家、タイ式ボクシングの選手、インドのヨガの師範、謎のチベット妖術を操る者、などなど、
雑魚キャラなのに不思議な存在感があるのです。
突然タイの民族音楽が鳴り響き踊り始めたり、どういうパワーアップ効果が得られるのかわかりませんが、いきなり逆立ちして相手の周りをくるくる回りだしたり、身体が膨らんだり、
なんの反動もつけずに仰向けに寝転がっている状態から起き上がったりと、凄いんです。
監督、主演のジミー・ウォングは楽しかっただろうなあ。
上から撮ったり、
穴を掘って地下から撮ったり、逆再生の(映画創世期からありますが)トリック撮影を使ったり、火薬で岩山を吹っ飛ばしたり。
左手が強靭になった過程なんですが、燃え盛る炎の中に左手を突っ込んで神経を殺し、長年冷やして寝かせておいた薬草につけて神経を再生させるというものなんです。
火傷しないのが不思議なんですが、笑って観ていれば腹も立たない。
そして戦いのときに時折見せる左手は、どう見ても黒墨を塗っただけという・・・脱力・・・ハァ
クエンティン・タランティーノが好きだという本作。
わかるなぁ。
彼はチープな映画バカが好きですもんね。
こうすれば観客は楽しんでくれるだろうと必死で考えながら撮っている映画バカ。
プライベートでは、いろいろトラブルの多かったジミー・ウォングですけど、楽しい映画を作るのに情熱を傾けていたのは間違いないと思います。まるで日本の勝新太郎だな。
100%脱力作品です。
よろしければどうぞ!