しろくま

いつでも夢をのしろくまのレビュー・感想・評価

いつでも夢を(1963年製作の映画)
3.5
2022.10.06/217/GYAO
〝1945年以来、働く者は権利を勝ち取ったが、働く者の権利っていったいなんだ〟〝人間らしく生活するってことよ〟〝そうだろ。ところが、1962年現在、俺達には…〟

家庭の事情で全日制の高校を諦めて仕事をしながら定時制の高校に通うことを選択した女子中学生(吉永小百合)を描いた〝キューポラの街〟の延長線上にあるような展開。定時制の高校に通う吉永小百合、松原智恵子、浜田光夫とトラックの運転手の橋幸夫との交流を通して描く若者の夢や希望と厳しい現実。明けても暮れても油と埃にまみれて働いても給料はそんなに上がることはなく…。レコード大賞を受賞したデュエット歌謡〝いつでも夢を〟の映画化だけど、努力をしても報われることのない挫折や苦しみもしっかり描かれていて、だからこそ〝いつでも夢を〟という歌が心にしみる青春映画。

高度経済成長の活気あふれるあの時代。工場の煙突、土煙舞う道を行きかうトラック、そして東京見物と言えば東京タワー。まるで〝3丁目の夕日〟みたいで懐かしい昭和の原風景。そしてあの頃聴いていた名曲の数々。〝いつでも夢を(橋幸夫&吉永小百合)〟の他にも高校の帰り道で吉永らが歌う〝寒い朝〟、トラックを運転しながら橋が歌う〝潮来笠〟、飲み屋で橋が披露した〝北海の暴れん坊〟など懐かしい曲が流れ、思わず口ずさんでしまった。結構覚えていてびっくり。
しろくま

しろくま