スギノイチ

スパイのスギノイチのレビュー・感想・評価

スパイ(1965年製作の映画)
3.0
『黒シリーズ』の流れを汲むポリティカル・サスペンスだが、いちプログラムピクチャーに日韓問題だの朝鮮スパイだのを盛り込む山本薩夫はさすが。
それでいて、山本學&山本圭の甥っ子兄弟を出演させることも忘れない。

肝心の田宮二郎の影が薄く、盛り上がりにかける部分もあるが、中谷一郎の捻くれきった怨念や、もはや名人芸と言えるほどの小川真由美の不幸ムーブが見どころ。
というか、田宮二郎と中谷一郎が相対するシーンでさえ中谷一郎側のモノローグが挿入されるあたり、中谷一郎と愛人・小川真由美の愛憎劇がメインに見える。

中谷一郎が田宮二郎に浴びせた「世の中にはな、遺書も書かずに拳銃自殺する人もいるもんさ」という台詞でドキッとした。
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