Omizu

サヨナラのOmizuのレビュー・感想・評価

サヨナラ(1957年製作の映画)
4.5
【第30回アカデミー賞 助演女優賞他4部門受賞】
ミヨシ・梅木がアジア人として初めて演技部門で受賞した作品として有名。
ミヨシ・梅木と夫婦役のレッド・バトンズも助演男優賞を受賞しており、二人でオスカーを手に抱き合う写真は微笑ましい。

『波止場』などのマーロン・ブランドの相手役は高美以子で、彼女は日系アメリカ人だそうでちょっと日本語は変なのだがセリフの大部分が英語なので違和感はない。

高美以子の役は最初はオードリー・ヘップバーンに依頼されていたそうで、そうならなくて本当によかった…

劇中の松林歌劇団というのは大阪松竹歌劇団(現・OSK日本歌劇団)がモデルだそう。京マチ子さんなどスターを輩出した歌劇団としても有名。

スラッとした佇まいが段々と柔和になっていく高美以子さんに比べ、大人しいけど秘めた激しい愛情を出していくミヨシ・梅木…どちらも素敵。

実際に日本でロケをした撮影もとても素晴らしく、時代考証や日本描写もとてもちゃんとしている。

日本人にただ異国人としての理想を求めるのではなく、マーロン・ブランド演じる空軍の少佐が実は演劇に憧れを持っているという動機も描かれているのがとてもいい。

また結末も悲劇的ではなく終わらせるのがよかった。

ミヨシ・梅木は出番は少ないけど印象的な演技をしていてアカデミー賞とったのも納得。というかあの夫婦がとても素敵。確かな愛情で結ばれているのが伝わってきて感動した。

また歌舞伎や人形浄瑠璃文楽など日本文化も多く出てくるが、ただの異国情緒の演出ではなくちゃんと本筋の伏線になっているのがまたよかった。ただあの歌舞伎役者の存在意義が分からなかった。アイリーンとは結局どういう関係??

目にも鮮やかでトンデモじゃない日本描写も好感が持てたしラブストーリーとしても王道だけど感動できた。かなり好きな作品。
Omizu

Omizu