一流のフラメンコダンサーは私服でリハーサルをしていても、その華麗な演舞のみで人間を魅了できるということを思い知らされるし、そんな美しい所作の数々を映像にしたというだけでもう素晴らしい。
勿論名舞踊家アントニオ・ガデスらの素晴らしさだけでなく、映画でないと味わえないカメラワークや稽古部屋が一瞬で演技の世界に変わる不思議さ等を描写することでフラメンコを見事な映画作品に仕立て上げることに成功しているのも良い。
カルロス・サウラはここから取り憑かれたかの如くフラメンコ映画を多数撮るようになるけど、そんなフラメンコに没頭する気持ちもよくわかるし、こういうフラメンコ映画を見た後だと以前の作品があまりに普遍的で霞んで見えてしまう。
