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画家と庭師とカンパーニュの一人旅のレビュー・感想・評価

画家と庭師とカンパーニュ(2007年製作の映画)
4.0
ジャン・ベッケル監督作。

フランスの田舎町を舞台に、老齢の画家と庭師の交流を描いたヒューマンドラマ。

『現金に手を出すな』(1954)『モンパルナスの灯』(1958)『穴』(1960)の巨匠ジャック・ベッケル監督の息子で、『ピエロの赤い鼻』(2003)で知られるジャン・ベッケル監督によるヒューマンドラマの秀作。パリでの都会暮らしに疲れ故郷の田舎町に戻った画家と、彼の実家の庭を手入れすることになった幼馴染の庭師の久しぶりの交流と友情を、フランスの田舎町の瑞々しく美しい夏風景の中に綴っています。作風的には同監督『クリクリのいた夏』(1999)に類似した姉妹映画のような位置づけですので、クリクリが気に入った人には本作もお勧めできます。

人生の終盤に差し掛かった画家と庭師の素朴な交流風景に心温まる作品であり、昔の想い出を語り合ったり、菜園を造ったり、小舟で釣りを愉しんだりと穏やかでゆったりとした二人のひとときが映し出される、仕事に疲れた人にぴったりの癒し系ヒューマンドラマです。画家と庭師の固い友情が絵画として結実するクライマックスは哀しくも感動的で、ベッケル監督の演出手腕に唸らされます。

主演は『ザ・カンニング[IQ=0]』(1980)『八日目』(1996)『メルシィ!人生』(2000)のダニエル・オートゥイユ。ロバート・デ・ニーロ似の風貌が印象的なフランスを代表する名優です。相手役には脇役での出演が多いジャン=ピエール・ダルッサン。両者とも味わい深い名演を魅せてくれます。
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