のんchan

画家と庭師とカンパーニュののんchanのレビュー・感想・評価

画家と庭師とカンパーニュ(2007年製作の映画)
4.0
むか〜し観てたけどレビュー残すため再鑑賞。
当時は味のあるフランス俳優ダニエル・オートゥイユとジャン=ピエール・ダルッサンをそんなに知らない時で、まだ老境の話に興味の湧かない時だったのもあり、そこそこ良い話程度だった記憶。
いや〜、今回はこんなにも沁みて来たとは自分の年齢をつくづく感じ入りました。


パリで画家をしているキャンバスは、妻から離婚を切り出され、一人娘とも疎遠。何より絵画制作に意欲をなくしていて、カンパーニュ(田舎)の両親が遺した実家に戻って来ていた。
荒れ放題の庭に家庭菜園でもしようかと庭師の広告を出してやって来たのがジャルダンだった。

話し始めて気付いた2人はなんと小学校の悪ガキ仲間だった。悪さのために転校を余儀なくされて離れ離れになっていたのだった。
ジャルダンは地元を離れず国鉄で定年まで勤め上げ、妻を愛し、息子2人を育て上げ、憧れだった庭師になって老後を楽しんでいた。

2人はジョークを適当に入れながら昔話や何気ない世間話などを交わすうちに、お互いにないものを埋めつつ助け合う大切な存在になっていく。

キャンバスとジャルダンと敢えてあだ名で呼び合っている。
キャンバスが「絵とは何か?心で感じるんだよ。俺を感動させ、泣かせる絵、喜びを与える絵...俺にはとても描けないよ、到底無理」と落ち込んでいると、ジャルダンは解らないなりにも「君が描いているからその絵は好きだよ」と優しく励ます。

ジャルダンの息子の就職先を世話するキャンバス。
そんな時、ジャルダンが腹痛で倒れ、急遽パリの知り合いの病院へ連れて行くキャンバス。
余命が僅かとなるが、ジャルダンは後悔のない人生を送って来たのだった。
川で鯉釣りをして、ジャルダンが語る言葉のなんと深いことか。

キャンバスは若いモデルの裸を描いて人気が出たが、そのモデルに手を付けたり、常に頭は女のことだった。
自分の人生を豊かにする知恵を授かったように、ジャルダンの亡き後、ジャルダンを思い、ジャルダンの身の回りの物を描いた作品で個展をする。そこには人集りができていた。


キャンバス役ダニエル・オートゥイユの心ここに在らずの少し落ち着かない様子。
またジャルダン役ジャン=ピエール・ダルッサンの垢抜けないが地に足の付いた確実な生き様。
2人の演技の掛け合いはお見事でした。

アラフィフ以上の方に響くの間違いなし。
シニアにはまだ少し早いけど、一応おすすめシニアの仲間に入れました。
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