Myon

画家と庭師とカンパーニュのMyonのレビュー・感想・評価

画家と庭師とカンパーニュ(2007年製作の映画)
4.1
気取ったところのない、ありのままの美しさを撮った映画。主人公2人はそれぞれ違う価値観を持っているけど、基本それを押し付け合うことがない。お互い勝手に喋って分からないところは流す、みたいな姿勢がすごく好き。
全編がそのおじさんたちの会話劇なのでフィクションに起伏を求める人は退屈かも。

都会であるパリが基本的に天気も悪く暗い雰囲気なのとは反対に、2人の拠点である「さびれた田舎(カンパーニュ)」は光溢れる場所として撮られています。別におしゃれな映画じゃないんですが画家のアトリエと庭の色彩が本当に美しいのです。
そしてその田舎の美が、最後に集約されています。

金も地位もない田舎者である庭師に色々教えられることのある画家ですが、もういい年ですから彼の本質が大きく変わるわけじゃない。他人の心配をしだしたようにみえて、奥さんの目の色すら間違っている。20年前描いたという彼女の絵はちゃんと青い目でした。
絵心はなくても、自分の奥さんの目は難しいから手伝うよとまでいった庭師とは対照的です。その意思を尊重して画家が点睛を後回しにしたシーンがすごく好き。勝手な男ですが庭師の前ではプライドを脇に置いているところが良い。年をとってからもこういう友達がいたらいいなーなんて思いました。

基本原語派ですが、1箇所吹替えじゃないと笑いどころが分かりずらい箇所があったかな。
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