このレビューはネタバレを含みます
名優トニーがオセロ役に入れ込んで元妻ブリタと劇場広報ビルの関係を疑い猜疑心に錯乱してバー店員のパットを殺すお話。重厚な劇伴がかなりの聴き応え。
トニーことロナルド・コールマンが凄まじい名演。特にオセロの舞台上での迫真の演技が凄い。最期の舞台上での切迫感や朦朧感も抜群。日常のシーンでも、二枚目さや役と曖昧になる様子も良い。
しかしこれに入る演出が色々と台無しにしてた感が。とにかく台詞が入り過ぎているようで、心の声までご丁寧に言語化するので興醒めでした。舞台はじめ、撮影も余り冴えなかった印象。
また、プロットは抜群なのに、細部に変なところが多かったです。バーのそっくりさんの仕掛けはどう考えても苦しい。いきなりビルの存在感出てるし。パットに拘泥した理由も何やら弱い。
トニー以外の演技も正直今ひとつで、素晴らしい面も多かったのに消化不良感があって、何だか惜しいなあと思うとともに名演と劇伴と音響とプロットは十分に楽しめた作品でした。