櫻イミト

輪舞の櫻イミトのレビュー・感想・評価

輪舞(1964年製作の映画)
4.0
オフュルス監督「輪舞」(1950)をロジェ・ヴァディム監督がリメイク。舞台を19世紀末のウイーンから1914年パリに変更し、連鎖した幾つもの恋と痴情が描かれる。本作後にヴァディム監督と結婚するジェーン・フォンダ、絶頂期のアンナ・カリーナ、カトリーヌ・スパークなど、女優陣の競演も見所。

まずはオープニングタイトルの影絵演出がたまらなく好みだった。内容は旧作殆ど同じで、カップルの一方の不倫を数珠つなぎで描いていく。ただし旧作のような狂言回しや演劇的な演出は排されて、ロジェ監督ならではの退廃的でゴシックな美術の中で大人の痴情がロマンティックに描かれていく。そして本作オリジナルのラスト「たとえ死んでも、退屈な人生よりいい」とのセリフに輪をかける老婆の回想エンディングが、これまた個人的にツボだった。「ゴッドファーザーⅢ」(1990)のエンディングはこれのパクリではないか。

保守的な映画通の間では旧作が絶賛され本作の評判は芳しくないが、個人的には偏愛映画の一本となった。キッチュな退廃美とロマンがあふれている。ヴァディム監督は「血とバラ」(1960)も大変好みだったので他の作品も追いかけてみたい。
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