あしからず

赤い砂漠のあしからずのレビュー・感想・評価

赤い砂漠(1964年製作の映画)
4.6
世紀末SFのような絵画性の高い映像の連続と神経を患ったモニカヴィッティの不均衡さが良すぎる。異世界に迷い込んだ異星人のように、怯えた野生動物のように世界を拒絶するヴィッティ。
工場内で緑のコートの彼女が赤い配管の下を通りオレンジのダクトと同じ画面に収まってラベンダーの機材の前で風を受ける一連が完璧。
船の二面性が面白くて、現実では感染症を運んでくる恐怖の象徴でありながら、ヴィッティの空想では自由と解放の象徴。それでもやはり船に乗る選択肢は取れないし回転義は失われてる。
環境破壊と精神不安は地球と人類の未来を暗示してるようでありながら人工物の撮り方がやたら美しい。この雲を掴むようなアントニオーニの魔術の虜
あしからず

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