爆裂BOX

JIGSAW デッド・オア・アライブの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.3
母子家庭で一人娘ジェニファーを育てるホープは、ある日、目覚めると狭い箱の中で腹に傷を負っていた。箱から出ると謎の男に殴り倒され今度は木に首を縛り付けられ腹の中に埋め込まれた剃刀を取り出すことを強要される…というストーリー。
邦題だけシリーズ作品「JIGSAW」の第三弾。監督は「悪魔の椅子」のサイモン・ボーイズとアダム・メイソンです。
腹の中から取り出した剃刀で縄を切って脱出したホープは、そのまま謎の男に監禁されて森の中で共同生活を送る事になる。その中でホープは脱出のチャンスと娘の居場所を探ろうとするが、という内容です。
棺の中で目覚めた女が悲鳴を上げながら何とか脱出するも、殴り倒されて不安定な足場に立たされて首に縄を巻かれて木に縛り付けられた状態で、腹の傷口から剃刀を取りだす冒頭から掴みはOK!同じ目にあわされたホープが何とか脱出し、現れた男に「続けるか?」と尋ねられる所等「これからもっとすごい拷問ゲームが待ち受けているのか!?」と思わされますが、「SAW」の様なテストをされるのはこの序盤だけです。
そこからは男に傷の手当てをされたホープが、鎖で繋がれて森の中のキャンプの様な場所で共同生活を送る様子が延々描かれていくことになります。抵抗したりしたときは暴力振るいますが、男の指示も「食事に使った鍋を磨け」「男が庭と呼んでいる場所に植わっている野菜を枯れない様に世話しろ」と本当にサバイバル生活の様な指示で過激な事はやらされないんですよね。男の目的は何なのか、娘はまだ生きているのかそれとも殺されているのか、従順になったふりして脱出のチャンスを窺うホープなど興味をひかせる要素はありつつも流石に前半はダレますね。
男を殺すチャンスを手に入れながらも殺せなかったホープが足を折られて連れ戻されてからは、心が折れたのか男との生活に順応していきますが、その中で折られた足を自力で治療したホープに男が一目置いたり、ホープも男に一歩も引かず意見できる立場になったりと関係性が変化していく所は面白かったですね。新しく若い少女を男が連れて来て、少女がずっと泣き叫ぶことに男がイラつく様子を見せた時にホープが先に読み取って最悪の事態起こさせない様に行動したりする所も面白かったですね。少女が最初の頃のホープの様に反抗しようとするのを見て「殺されるからやめなさい」と忠告する所も何か先輩感出てて面白かった。ホープ役の女優さん最初パッとしない感じだったけど、台詞なくても表情だけで言いたいこと伝わってくる演技も良かったですね。
ゴア描写は冒頭の腹の傷口に手を突っ込んで剃刀探す所が強烈でしたね。腹の皮膚の下で手が動く所とか妙にリアルでグロく感じました。足へし折られる所と舌切り取られる所も痛々しさ出てたと思います。
結局男の目的は最後までハッキリわかりませんでしたね。最初の「恐怖によって奴隷は作られる」という一文から理想の奴隷づくりが目的だったのかと思いましたが、娘の事を聞かれて「娘はいない。家族は俺とお前だけだ」という台詞から、森の中で一人でサバイバル生活してて孤独でおかしくなって家族を作ろうとしたのかなとも思えます。見た目もあんまり異常者っぽくないし、やってる事は残虐だけど凄い凶悪な異常者ともまた違う感じしたかな。少女殺した後に「何もかも無茶苦茶だもう終わりだ」と言い出してホープに自分殺すように言って殺されるのも、冒頭の犠牲者と言い、今までは自分で殺さなかったのに、自分の手を汚してしまったことで理想郷が崩れて何もかも終わらせたくなったからか。
ホープがキャンプを去る時に、辺りを見回して何とも言えない表情する所も印象的でした。長い間過ごして順応したからしらずしらず思い入れが出来たのか…
後味の悪すぎるラストは製作者の悪意爆発したような感じで好みでした。娘が口元血で汚れてて喋らなかったのはやはり舌を…
当然ですが「SAW」のような作品期待すると爆死しますし好き嫌いも分かれると思いますが、低予算スリラーとしては頑張ってる方じゃないかな。