Emmy

ある公爵夫人の生涯のEmmyのレビュー・感想・評価

ある公爵夫人の生涯(2008年製作の映画)
3.5
世界史に詳しくないので史実との関係性はあまりわからないのだけれど、こういう映画は衣装や美術が好きでつい観てしまう。
この映画もやっぱり衣装がすごく可愛い。この映画で使った衣装の写真集を出して欲しい。

内容はあまり期待していなかったが結構良かった。いろいろ酷い話ではあるしみんな善人ではないのだけれど、性根が腐った極悪人はいなかった。
みんな精神的にもう少し、ほんの少し大人だったら、全然違う話になっていただろう。
でもジョージアナが結婚したのは18歳になる前だ。社会のことなんてまだまだ全然わからず、親・親の思想・社会の在り方を疑うこともまだできないような年齢で「こういうものなんだ、こうすれば幸せになれるんだ」と信じて、流れに身を任せて結婚し、されるがままに妊娠して子どもを産む。
世継ぎとして男の子が必要で、男の子が無事に産まれるまで何人産むことになるかもわからないから、若い女性を妻にして出産の機会をできるだけ増やしたい。だから公爵等というお偉いさんは若い女性を選ばないといけないし、選ばれた若妻は何が何だかわからないままただただ周りの大人を信じて結婚し妻となり、男の子を産むことが「義務」とされる生活に拘束される。
誰も自分で選んでなんかいない。だからみんな不幸になる。
今の日本なんてそんな社会ではなく「自由恋愛」で結婚も「自由」なはずなのに、精神的にはこの時代この社会の人達と同じで見えない何かに縛り付けられて結婚出産して不幸になって(何の罪もない子どもを不幸にして)いる人がいる。変な話だ。

ただこの映画の登場人物達は皆ちゃんと精神的に成長し、自分達の選択を正解にするために努力した。だから皆最終的には幸せになれた。これは見習わなければいけない。

愛するジョージアナと引き裂かれたグレイが「1日に12通も手紙を送ったのに返事がない!」と怒るシーンは笑ってしまった(笑)
1日12通は多すぎる(笑) ほとんどギャグみたいな愛情表現で微笑ましい。
後で調べたら、このグレイさんは「アールグレイ」の由来になった紅茶好き伯爵だった。

グレイとの間にできた女の子(イライザ)をグレイ将軍(グレイの親族)に引き渡すシーンは泣けた。
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